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えすえむぷれい。




狼が痛みに顔をしかめる。
それを見て御剣が意地悪く笑った。

「人が痛がってんのによ」

普段の笑顔も勿論綺麗だが、こんな時の御剣の笑顔は何よりも妖艶で美しい。

「貴方は私を悦ばせたいのだろう?ならいいではないか」

御剣は尚も口元を引き上げて狼の痛みの原因を与え続ける。
その責め苦に、遂に狼は強く双眼を瞑って天を仰ぎ、膝をついた。

 


 

 

「マジで痛ぇんだ。アンタも男なら分かるだろ!」

両腕すら床についた狼が恨めしげに唸る。
常人が見れば震えあがるそんな声すら、御剣は悠然と哂って一言でいなす。

「貴方が節操なしなのがいけない」

御剣の言葉に、狼は返す言葉もない。
確かに、仕事着のまま盛った自分が一番いけないのだ。

狼は、いつも部屋に入ると衣服を脱ぎ去ってスウェット一枚になる。
それには、裸に近い方が過ごし易いという以外にも理由があった。

もう一つの理由、それはいたって簡単。


  股間が痛いから。
 

普段狼が愛用している勝負服、もとい仕事服は革ジャケット、黒シャツ、革パンツにブーツだ。
革ジャケットのファーは、抱きしめた時に御剣の敏感な鼻を擽っては可愛いくしゃみを引き起こすため、着ていることはやぶさかではない。
しかし問題は下半身を覆う革のパンツである。

伸縮性の乏しいその素材故、勃起時にはしこたま押さえつけられて悶絶せざるを得ない。
その痛みたるや、女性には言葉で説明し尽くせないものがある。

だからこそ、御剣と過ごすプライベートの時間、特に自制の利きにくい御剣宅では常に即行でスウェットに着替える狼なのだが、今日はまさかのほぼ玄関先での出来事であった。

事情が分かるだけに、御剣はただその様子を笑って見ているだけ。当初の狼の予想に反し、跪く狼を見て恥じらって怒るというような可愛げは生憎持ち合わせていない。
それでも「嗤ってんじゃねェ」と怒鳴れないのは、御剣の台詞にもあったように、自分のこの態が御剣にとって悦びであると解ってしまったからだ。

御剣の些細な言動や行動に対して狼が無様に欲を滲ませる様を、彼は幸せそうともとれる表情で眺める。

まるでそれが狼からの睦言であるかのように。


まァ間違ってはいねぇけど…と狼は溜息を吐く。
こんなに無様な姿は、今まで付き合ったどの相手にも晒してはいない。だから別に革パンツにだって不自由を感じたことはなかったのだ。

それでも、本物の口説き文句よりこういったことの方が喜ぶってのはどういうことだ。

そう思わずにはいられない。
言葉を操る職業であるからこそ、言葉に対して信用がないのだろうか。

だとしたら、狼が次にとる行動の選択肢は一つ。股間の痛みを無視して立ち上がり、目前で笑む紅を寝室に攫った。

 


勿論、沢山の睦言を身体で語るために…

 


 

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SMプレイ…と、見せかけての、プレイじゃない日常的SM(笑)。



 

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