777HIT有難う御座います!!
800HITまでには復帰できるかな、とか思っていたのですが、認識が甘かったです。
嬉しい誤算です!毎日沢山の方に来て頂いて、本当に有難う御座います><
それから、記念すべき632HITは、昨日お相手して下さったまゆこ様に捧げます(いらんてば)。
これをご覧になりまして、リクしてやるぜとお思いになりましたらご連絡下さい。
聞き流しは大いにOKです!ご迷惑は承知ですから>< でもお会いできて嬉しかったんだ!!
辰巳さんから555HITのリクエストも頂いたことですし、復帰したらがっつり書くぞー!
本日は久々に検事さん視点の小話です。
『一周回って最終的には狼のことが大好きなミツ(辰巳さん談)』が表現できていたらいいな、と思います(笑)。
まったく、どうかしている。
自分はこんな人間であったろうか。
御剣は、自宅のソファにゆったりと腰をかけ、気に入りの紅茶を楽しみながら、ここ最近の自分について考察していた。
狼捜査官と、所謂恋人という関係になって、一年。
一年という期間が世間一般的には長いのか短いのかは解らないが、双方が多忙を極めていることもあり、御剣はとても短いと感じている。
それなのに。
狼に出会ってからの自分は、驚くほどのスピードで変化を遂げて行っている。
今まで自分は、こんなに笑っていただろうか。
こんなに、人を困らせたいと思うことがあっただろうか。
こんなに、他人に興味を持ったことがあっただろうか。
こんなに・・・
こんなに、あたたかい気持ちになったことが、あっただろうか‥。
思い返せば、経験はあっても、今の様な頻度であったことはないものばかりだ。
特に、狼に出会う少し前であれば、まったくないといってもいいようなことばかり。
人に興味を持つことも、関わることも、正直とても面倒だった。
目標は変わっても、無意識に『完璧』を求めているからだろう、常に張り詰めて、鋭利な表情でいたように思う。
でも、狼士龍という男に出会い、彼を愛することで自分は変わった。
この男の傍にいると、『飾る』ということが本当に無意味に思えてくる。
御剣自身、飾っていたつもりはないのだが、それでも素直になることを覚え始めた今では、感情を押し込めるということで『飾って』いたのだと思う。
なにせ、この大地のように大きい男を相手にしていると、自分がどんな姿を曝しても受け止めてくれるだろうと、根拠のない安心感に満たされるから不思議だ。
出会った当初は、その大きな器に戸惑って、嫉妬して、悩んだりもして、とことん抗った。
抗って抗って、それでもまるで効き目のないこの大きな大地に、開き直って寝転んでみることにして、数か月。
余りの心地よさに、今ではもう起き上がるつもりは微塵もない。
その代わり、大地と近づいて、改めていろいろ土いじりをしているうちに気付いたことも沢山あった。
大地が乾いてひび割れた時には、時に自分が水を与える役目を負っていたということ。
自分が大地から搾取しているだけだと思っていたのに、大地にとっても、自分は大切な栄養分であったということ。
そこまで分かって安心した自分は、今度は大地に植物を育てることを楽しんでいる。
特に、悪戯という名の種を蒔くと、大地は意外な植物の芽を出してくれたりして、それがとても楽しい。
大地は本当に大きいから、大きさでは自分は到底敵わない。
でも、大地に自分が与えられるものがあるというのなら…
自分は太陽となり、雨となり、肥料となり、そうして二人で、二人だけの植物を沢山育てていければ良いと思う。
まったく、どうかしている。
自分が変化したこともそうだが、その変化を受け入れているだなんて。
ふいに、厄介な親友がよく口にする言葉を思い出す。
『自分が相手のために何か出来るって、幸せなことだとオレは思うぜ☆』
自分はよく、それで振られていては…、などと無碍にしていたものだが、確かに一理あるかもしれない。
たとえこの大地に身を預けられる時が終わってしまっても、共に育てたものは自分の中に残るだろう。
喩えようもない、あたたかいしあわせな記憶として…
そこまで考えて、御剣の唇が綻んだ時、丁度玄関のドアが不躾に開けられた。
さて。
今日は大地にどんな種を蒔こうか。
再び笑みを象った御剣の口元は、一瞬前のそれよりもほんの少し、意地の悪さを滲ませていた。
FIN...